除染電離則モニタリングサービス共通技術基準

東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則に伴い、除染等業務または特定線量下業務を行う従事者を対象とした個人線量のモニタリングサービス共通技術基準を設けました。

1.測定対象放射線
 本共通技術基準に定める測定対象放射線は、除染電離則※1 に定める除染等業務および特定線量下業務に従事する者が、その作業中に福島第一原子力発電所事故由来の放射性物質である134Cs および137Cs から受けるγ線とする。

2.報告線量
(1) 報告線量は、実効線量とする。
① 妊娠中の女子であって事前にその旨の申告があった者については、腹部表面の等価線量を併せて報告する。
② 契約期間中において、継続的に個人識別が可能な者については、次の線量を併せて報告する。
  ●男性※2の実効線量の3 月ごと、1 年ごとおよび5 年ごとの合計※4
  ●女性※3の実効線量の1 月ごと、3 月ごとおよび1 年ごとの合計※4
  ●妊娠中の女性の腹部表面の等価線量の1 月ごとおよび妊娠中の合計
(2)報告線量下限は、0.1mSv を基本とする。
(3)報告線量単位は、個人線量計から得られた測定値を四捨五入し、0.1mSv ステップ(または有効数字3桁)とすることを基本とする。
 ただし、各種補正等のために顧客が必要とする場合は、より詳細な数値を提供することがある。

3.線量算出基準
(1)個人線量計の線量算出基準(測定値)は1cm 深さの個人線量当量[Hp(10)]とし、この値をもって実効線量、もしくは、妊娠中の女子の腹部表面の等価線量とする。
(2)個人線量計の校正には、JIS Z 4331 に定めるファントムを使用する。

4.自然放射線の補正
 コントロール(BG補正用)素子を準備し、測定対象となる事故由来の放射性物質に係る放射線量だけを算出し、報告する。

5.コントロール素子の保管場所
 コントロール素子は、事故由来の放射性物質からの影響の無い場所において、使用時以外の個人線量計と一緒に保管することを基本とする。
 ただし、事故由来の放射性物質からの影響の無い場所の確保が難しく、顧客から要請がある場合にあっては、線量算出において適宜補正等を加えることがある。

6.使用期間
 除染電離則に係る個人モニタリングサービスに使用する線量計の使用期間は、1 ヵ月以内を基本とする。

7.一般電離則※5との合算
 除染電離則に定める除染等業務および特定線量下業務に従事する者が、一般電離則に定める放射線業務従事者であり、かつ、顧客から両電離則に係る線量を合算する旨の要請を受けた場合には、これに応じる。
 なお、実効線量に加えて等価線量が合算の対象となる場合にあっては、除染電離則に係る測定対象放射線がγ線であることから、各深さの個人線量当量は同値であるとみなす。

8.特記事項
(1)除染電離則適用事業者の実効線量は、個線協が年度ごとに集計している統計データには含めないことを基本とする。
(2)除染電離則に係る個人モニタリングサービスの報告書には、除染電離則適用事業者を対象とした報告書である旨、明示する。
                                       
※1. 東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則および人事院規則10-13 東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等の除染等のための業務等に係る職員の放射線障害の防止
※2. 男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性
※3. 妊娠する可能性がないと診断されたものを除く
※4. 3 月は1 月、4 月、7 月、10 月を始期とする3 月、1 年は1 月1 日を始期とする1 年、5 年は平成24 年1 月1 日を始期とする5 年間(以後、5 年ブロック)を原則とするが、除染電離則適用業務以外の放射線業務にも携わる着用者で事業者からその旨申し出があった場合は一般電離則等の集計期間で集計することもある。
※5. 電離放射線障害防止規則、本書では除染電離則と明確に区別するために一般電離則と記す。

以上

平成24年4月19日 制定
平成25年7月18日 改定

2021年03月03日