被ばく線量分布の公表について

【目  的】
 我が国において個人線量管理を実施されている放射線業務従事者の数は、平成14年度当時では統計データ等によると46万人程度と推定されますが、個線協メンバー各社の個人線量測定サービスは、現在では50万人を超える放射線業務従事者の個人線量管理にご利用いただいています。
 一般的に個人線量管理は、法令に定められた線量限度と、各放射線取扱施設の放射線業務に即して設定される管理目標に基づいて行われます。従って、各社のサービスシステムに記録されている個人線量データを用いて被ばく線量分布を集計し公表することは、各放射線取扱施設における管理目標等を検討する際の参考資料として、広く皆様に活用いただけるものと考えます。
 個線協では、サービス規約に定める「統計資料の公表」の範囲内でメンバー各社の保管する個人線量データを取りまとめ、統一した集計方法による被ばく線量分布を公開することにしました。

【集計方法と分類】
 被ばく線量分布は、原子力発電所などにおける放射線業務従事者を除いた約50万人の放射線業務従事者について、年間(各年度)の個人線量を集計したものです。集計は、期間中(4月1日から翌年3月31日)に一度でもメンバー各社の個人線量測定サービスをご利用いただき、個人線量を報告した人を対象としています。使用者が特定されていない線量計のデータ及び環境線量測定用線量計のデータは含んでいません。また、集計する線量としては、実効線量を対象としています。
 なお、個線協では、個人情報保護の観点から集計に際して個人氏名の照合は行いませんので、期間中に他の事業所への異動により測定会社が変更された場合には、別人として集計されます。
 集計は、業種を一般医療、歯科医療、獣医療、一般工業、非破壊検査、及び研究教育機関に分類して行いました。更に放射線業務従事者数が多く集団線量の大きい医療については、職種を医師、診療放射線技師、看護師及びその他に分類しました。
 なお、これらの分類は、契約時の申込書に記載された内容に従っています。

【注意事項】
 被ばく線量分布では、法令に定められた限度を上回る線量を被ばくしている人が見られます。これらについては、個人線量として認定された値であることの確認等を行い、可能な限り公表データの信頼度の維持に努めていますが、当該事業所や使用者の確認が得られない等の理由により個人線量として認定されていないものが含まれている可能性があります。この中の何例かは個人線量計の不適切な取り扱いによるものと思われますが、そのまま被ばくデータとして記載しています。
 なお、個線協のメンバー各社では、多量の線量が測定された場合には注意を喚起し、別途連絡や特別な報告書を発行する等のサービスも行っています。また、これらの線量に関する認定に際しては、被ばく状況確認など適切な個人線量を評価するための支援も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

2021年03月03日